【メイキング】カスタムブラシを作ってコンセプトアートを描いてみよう

コンセプトアートは頭の中にあるイメージを豊かに、できるだけ正確に絵に起こして伝えることが大切だと、私は考えています。

そのためには限られた時間内で様々な表現の可能性を試すのがベターですが、全てを一から描くと効率が悪くて時間がかかり過ぎてしまい、ディテールや色味などを試す時間が限られてしまいます。そのため、スピーディーかつ効果的に作業を進める方法として、写真を利用するフォトバッシュがよく使われています。

その他にも、自分で望む世界観に合うカスタムブラシを使って描くことも重要なテクニックの1つで、実際にやってみると予想外のイメージができあがって面白かったりします。

そこで今回は、カスタムブラシの作り方と、作成したカスタムブラシでコンセプトアートを描くメイキングをご紹介します。

1.カスタムブラシを作る

それではさっそく、描きたい世界観に合うカスタムブラシを作成してみましょう。

1-1.使えそうな写真を選ぶ

最初に、描きたいコンセプトアートの世界観に使えそうな写真を選びましょう。

この時、著作権には気を付けてください。SNSやPinterestなどに上がっている写真は基本的に撮影者のもので著作権があります。勝手に使うと著作権侵害にあたるので、著作権フリーの写真を提供しているサイトを利用したり、自分で撮影した写真を使うようにしましょう。

1-2.カスタムブラシを作成する

良さそうな写真を選んだら、カスタムブラシを作成していきます。

Photoshopで画像を開き、色を抜いて白黒にします。メリハリが効いている方が使いやすいので、レベル補正で影の部分を強調するなどして、好みの具合に調整します。

いい感じに調整できたら、必要な部分だけを「なげなわツール」や「クリック選択ツール」で選択して切り取り、思うような形になるように調整します。

思うような形が出来上がったら「編集」>「ブラシを定義」を選択して、カスタムブラシとして登録します。

1-3.カスタムブラシはいくつか用意する

カスタムブラシは、使うものをいくつか用意しておくといいです。

今回の場合は、建物のために鉄骨や街並みなどがから作ったブラシや、空気感を表現するために雲の写真から作った大気系ブラシを使用しています。あまり多くてもまとまりがなくなるし、個人的にうるさく感じるので、ある程度厳選するようにしています。

作成したカスタムブラシ

2.【メイキング】カスタムブラシでコンセプトアートを描く

カスタムブラシが準備できたら、いよいよコンセプトアートを描いてみましょう!

あまり難しく考えず、感覚でガンガン描いた方がうまくいくと思います。なんか違うなと思ったら修正したらいいし、思いがけず面白いイメージが出来上がったりするので、とにかく描いてみるといいですよ^^

2-1.キャンバスを用意する

今回は、キャンバスを2分割して上下に2つ並べて描いていきます。私は集中し過ぎて他に意識がいかなくなることがよくあるので、その対策として2つ同時に描くことを試しています。

そうすると1つの絵にのめり込み過ぎることをある程度防止できるし、たまに絵を切り替えることでリフレッシュしながら作業できると思っています。

これはしばらく続けてみて、やりたくなったら複数並べるし、1つに集中したい時はその絵を優先するという感じです。

キャンバスを上下に2分割して2つのキャンバスを作ります

2-2.白黒でイメージを作る

最初から色をのせて描く時も多いのですが、今回は最初に白黒でイメージを作っていきます。色はかなり強力な情報でわりと意識が引っ張られやすいので、ディテールを決めるには邪魔な時もあります。

そこで色情報を抜いて白黒にすることで、雰囲気や構図に集中できるようにして作業を進めます。

2-2-1.後景を作る

まずは後景を作っていきましょう。この段階はあくまでイメージ出しのようなものなので、作り込み過ぎないようにしてください。

ブラシを反転したり拡大縮小したり、様々なディテールを試してみると面白いです。

この段階ではあまり時間をかけません

2-2-2.中景を作る

中景は世界観を作る重要な部分なので、イメージ通りの雰囲気を出すためにある程度作り込んでいきます。

この段階で「なんかイメージと違うな~」と思ったので、後景をかなり変更しています。イメージと違う絵はどんなにいじっても違ってしまうことが大半なので、思い切って修正した方がうまくいきやすいと思います。

2-2-3.どんどん世界観を作り込む

後景と中景のイメージがある程度できあがったら、ディテールを発展させてどんどん世界観を作りこんでいきましょう。この時、大気系ブラシを使って奥行きを出すとともに、描き過ぎによる画面の混乱も防いでいます。

脳は同じ画面を見続けているとそれに慣れてしまうので、何度も反転して構図を確認しながら作業を進めるといいと思います。私の場合は、最低でも3回は反転してディテールが適切に配置されているか、反転しても構図に物足りなさはないか確認するようにしています。

ただ、熱中し過ぎると反転することを忘れてしまうこともあるので、気を付けないといけないですね^^;

2-3.コンセプトアートを仕上げる

白黒での作り込みができあがったら、色を付けてさらに絵を作り込み、ディテールを整えて仕上げていきましょう。色やライトなどを足すと一気に絵ができあがっていくので、かなり楽しい時でもあります♪

2-3-1.色を付ける

色を付ける時は、グラデーション機能やオーバーレイを使うなど、好きな方法でやってみてください。これ以外の絵でグラデーション機能を試してみたので、今回はオーバーレイで色を付けることにします。

2-3-2.前景とライトを追加する

前景を入れると臨場感が増すので、必要に応じて入れるといいです。

今回は上のキャンバスに前景として建造物のシルエットを追加して、画面にさらに奥行きが出るようにしています。

今見たら下のキャンバスも前景を入れたらよかったのですが、この時は必要ないと思ったのでこれはこれでよしとして、次に活かせばいいや。

ライトは夜景の写真を「スクリーン」や「比較(明)」にして重ね、レベル補正で光だけを残します。そして、拡大縮小や変形などで好きなように張り付けるなり、余分な部分は消すなどしてイメージに近づくように整えていきます。

2-3-3.仕上げ

スケール感を表現するために、人物や飛空艇を描き入れました。あくまでもスケール感が表現できればいいので、人物も飛空艇も描き込んではいません。

最後に、トーンカーブで雰囲気や色調のバランスを整えて完成です。

3.まとめ

カスタムブラシで描くと偶然の産物で面白い形ができあがることがよくあるので、使ったことがない方はぜひ試してみてください。私自身も、カスタムブラシをもっと使いこなせるようになりたいと思っています。

本当は複数のカスタムブラシを組み合わせるデュアルブラシを使って、もっとスピーディーにガンガン描いていきたかったのですが、まだ使い慣れていないのでこれからです。

それに、下のキャンバスの絵はライトが多くて暴れ気味だし、パースの意識など反省点は多々あるので、次に活かしていこうという感じです。

それでは、今回はここまで。お読みいただきありがとうございます^^