プロダクトデザインやコンセプトのための製図を「HOW TO DRAW」で学びました

アニメやゲームなどのキャラクターデザインはレッドオーシャンなくらいにメチャクチャ人気の分野です。しかし私は世界観や風景、乗り物や武器などのデザインもやりたい派なので、プロダクトデザインの基礎スキルが必要だとヒシヒシ感じています。

もちろんデザインには勢いや直感も大切ですが、たとえ架空のものであったとしてもリアリティが求められます。そのためには、質量や質感を表現するデザイン力が大事だと考えられます。

今回ご紹介する「HOW TO DRAW」は製図を学ぶ参考書で、立体の骨組みを構築する部分に当たります。

PhotoshopやCLIP STUDIOなどの描画ソフトはすごく優秀なので、デザインの見映えはレンダリングでいくらかごまかすことができちゃいます。しかし、目に見える表面だけでなく後ろに回り込んだ裏側や内部など、立体の目に見えない部分まで把握して描画したデザインの方が圧倒的にリアリティは増し、レンダリングにも大きな差が出ると思います。もちろん、XYZ平面を理解する力は3DCGの制作にも大きく響くと思います。 そんなわけで、なにか良い参考書はないかと探していたところ、出会ったのが「HOW TO DRAW」です。


「HOW TO DRAW」は洋書なのですが、私は技術系についてはよく洋書を使わせてもらっています。それはなぜかというと、最先端技術はだいたい英語圏から生まれるからです。

そして、英語圏の方が日本よりもしっかりと体系化されているうえに質が高い気がします。

これは全てにおいて英語圏の方が優れているということではなく、何を求めるかによります。

アニメ塗りやカードゲーム系のイラストが描きたいなら、日本にも良いリファレンスは山ほどあります。しかし今回はデフォルメではなく、現実の物理法則に基づいたよりリアルな描画スキルが必要なので、本書をチョイスしました。 前置きが長くなってしまいましたが、ここからは中身について軽くご紹介していきます。

1.製図の基本中の基本を学ぶ

最初に製図の基本中の基本である直線と円の引き方を学んだあと、面の反転や回転や増殖、アーチの描き方などを学びます。

一つひとつはそんなに大変なことはないのですが、この基礎知識を使って連続するアーチの橋を描いてみようとなると「何コレどうなってんの?」ってなったりしました(笑)慣れないうちは比較的簡単なものでも苦労するものですね。

2.曲線を使った製図方法を学ぶ

面の反転や増殖など基本を学んだら、次はあらゆるデザインで使われる2曲コンボなど曲線を使う製図を学びます。パースが歪むと台無しになるので、パースの下敷きを作ってから作業に取り掛かりました。この段階でXYZ平面の理解も進めていきます。画像にある通り、オブジェクトの正面と側面と平面を表すXYZ平面を描いてから、必要な面を反転させたりアーチを描いたりしています。

慣れないうちは苦労するところもありますが、数をこなせば慣れるはずなので気にしません。しっかり理解しないと複雑な形状を描くのは困難ですが、完璧主義すぎると先に進めなくなりますからね。「分からなくなったら復習すればいいや」の精神で進めていきます。

凹ませたり膨らませたり、加減が分からないうえに要領を得なくて失敗もしましたが、とりあえず描けたのでOKとしています。少しずつでもスキルアップしているなら問題ないでしょう!

3.飛行機や車のタタキを描いてみる

ここまで学んだことを総動員して、以下の図のような飛行機や自動車のタタキを描いてみます。

正直かなりレベルが高くて難しかったので参考動画を見ながら、分からないところは繰り返し再生しながら描きました。これについては車のスケッチを描いたり構造を勉強したら、より分かりやすいのかもしれません。とにかく練習の積み重ねですね。思い通りにバシバシ描けるようになりたいです。

4.軽くコンセプトデザインを描いてみる

コンセプトデザインを描く時はいきなり本番にいくのではなく、サムネイルを描いて構図やデザインの方向性を探る方法があります。本書でもその方法が紹介されていて、動画によるレクチャーもいくつか用意されています。

とりあえず本書に書いてあることと動画に従えば、以下のような絵が描けます。

5.まとめ

ここで紹介したこと以外にも、グリッドの描き方やパース、ドラフト図など多くの知識が詰め込まれています。もちろん本書だけで100%の製図スキルが身に付くものではありません。本書で製図の基礎を学んだ後に練習を積み重ねて、しっかりと自分の技術として習得することが重要です。また、必要に応じて知識をアップデートしたりインプットすることも大切です。そうやって良いデザインが描けるようになっていくと思います。


あとは個人的な反省として、「HOW TO DRAW」で学ぶ前は製図の土台になるグリッドをフリーハンドで描いていたのですが、力が足りなくて歪みまくっていました。土台が歪んでいるから描き進めても歪んだデザインしかできません。しっかり下敷きを作ることと、丁寧に描くことを怠っているんだから当たり前ですよね。

参考動画を見て、自分は手早く描くことばかりに気を取られていたことと、時間をかけるべきところには丁寧にやっていいことを学びました。

効率的に速く描くことも大事ですが、そのことにこだわり過ぎていたように思うし、自分の描く姿勢を反省する良い機会になりました。