絵がうまくなる方法とは何か?|私が実践した練習方法7選

絵を描いても思い通りにうまく描けなかったり、描いてもなかなか人に見てもらえなくて、もっとうまく描けるようになりたいと考えている方は多いと思います。私も日々もっとうまくなりたいという気持ちが絶えません。
あの葛飾北斎ですら晩年に「猫1匹満足に描けない」などと嘆いたそうです。葛飾北斎レベルでそんなこと言われたら私はなんやねんという感じですが、とにかく『絵がうまくなりたい!!』という気持ちは、絵に真剣に向き合うほど強くなるのかもしれません。
そこで今回は、どうすれば絵がうまくなるのか、絵がうまくなるための方法とは何かを考えていきます。

うまい絵とは何か

そもそもの話、うまい絵って何でしょうか?
人に多く見られる絵でしょうか?
商業レベルに達している絵でしょうか?
個人的に満足できる絵でしょうか?

うまい絵や描きたい絵の基準は、実は本人が何を目標にしているかによって違います。そのため、人によって絵がうまくなるために必要なものも違ってきます。
だから、Aさんはデッサンが必要だと言うけど、Bさんはデッサンなんて必要ないと言うといった違いが生じるのではないでしょうか?
「人によって目指す絵が違う。だから人によって絵がうまくなるための方法も違う。」
ここを見落とすと、
「みんな違うこと言うけど、何が正解なの!?」
なんてことになりがちです。

以上のことから、絵がうまくなるためにはまず、人がどうのこうのよりも
『自分はどんな絵を描きたいのか?どのレベルに到達したいのか?』
を明確にする必要があります。
それを踏まえたうえで、目的別に絵がうまくなるための方法を考えていきたいと思います。

あまり時間をかけずに絵がうまくなる方法

絵を描く人の中には、時間をかけずに手っ取り早くうまくなりたい人もいるでしょう。
私の個人的な見解ですが、以下に挙げる2つの方法で比較的短時間で、ある程度うまくなると思います。

方法①ネット上にある講座を参考にする

PixivやYouTube、Twitterや個人運営のブログなど、ネット上には「〇〇の描き方」といった講座がたくさんあるので、それを参考にして練習する方法があります。無料で高品質な講座を公開してくれている方もいるので、ありがたいですね。 ただしネットは情報量が多い反面、必要な情報をまとめて体系化して学ぶのは少々難しいところがあるので、必要に応じて参考書も利用すると良いと思います。

方法②好きな絵師さんの描き方を真似する

「○○さんみたいな絵が描きたい!」のように、好きな絵師さんがいるならその方の絵を真似てみるのも、良い上達方法だと思います。目標の絵師さんが描き方講座を公開しているのであれば、ありがたくバンバン参考にしちゃいましょう。

講座や描き方を真似するだけでは限界がある

趣味で好きに絵が描ければ良いという方や、それなりにうまくなれば満足という方は先に挙げた方法で特に問題ないかもしれませんが、プロ並またはプロとして絵を描きたいとなると、先に挙げた方法だけでは難しいです。
なぜなら「○○の描き方」のような講座だけだと、複雑なアングルや様々な環境下でのライティング、シチュエーションなどに対応しきれないからです。

プロの仕事ももちろん千差万別で、求められるレベルも違いますが、基礎力が足りないとデッサンの歪みや光源の理解も追いつかないので、描画ソフトの機能に頼ってなんとなくそれっぽい絵を描くレベルに留まる可能性があります。
しっかりとしたクオリティを担保しつつ、自由自在に思い通りに絵を描けるようになるには、やはり観察力や光の理解、人体構造の把握などといった基礎が不可欠です。

画力の向上には必要な知識が多く、習得にも時間がかかります。焦らずじっくり、一つひとつ取り組むことが大事ですし、その価値はあると私は思います。

絵がうまくなるために私がやったこと

ここからは、私自身が実際にやった絵が上手くなる方法を簡単にご紹介します。私はガッツリ基礎力を身に付けたい派なので、習得にも相応の時間が必要になります。
そのため、「すぐにうまくなりたい」という方には私のやり方は向かない気がするので、時間をかけてでも基礎力を身に付けたい!という人向けです。

①デッサンを学ぶ

デッサンは絵の歪みの認識や陰影など、観察力を養うのに非常に有効で、説得力のある絵を描く基礎として欠かせません。観察力不足で無意識に歪んでいる絵と、理解したうえであえて崩した絵では圧倒的な違いがあります。
「そもそもデッサンて何よ?」ということについては、またの機会に詳しく描きたいと思います。

②光を学ぶ

光は直接光や間接光、反射光やリムライト、空気遠近法など多くの種類があります。色はRGBから分かる通り光で構成されているので、光を理解すればそれだけ魅力的な絵を描く力につながります。

③人体構造を学ぶ

キャラクターを描くなら、人体構造を学ぶのは非常に重要です。学び方は人それぞれですが、個人的にデッサン人形は実物の人体とは構造がかけ離れていて参考にならないし、いちいち3Dモデルを動かすのも面倒だしそんな時間がないことも多いです。
そのため、頭の中で360度人体を回転させてどんなポーズでも描けるように、解剖学で人体構造を学びました。
人体は奥深いので、今後はポーズ集の模写や3Dモデルの作成で理解を深めていきたいと考えています。

④パースを学ぶ

私はキャラクターの立ち絵よりも背景美術やコンセプトアートを描きたい派なので、パースの知識はかなり重要です。一口にパースといってもいくつか種類がありますし、人物にもパースはガッツリ影響するので、違和感のない絵のために必要な知識です。
今は車や飛行機、武器などの立体の設計のためにXYZ断面による製図も学んでいます。

⑤模写する

模写は描き方を学ぶために有効な手段です。ただ、模写は自分の作品ではないし、模写ばかりしている時間もありません。それに模写だけしても、学んだことを自分の絵に落とし込めないとあまり意味はないと思います。
そこで私の場合は、模写は必要だと感じた時にたまにする程度で、個人作品を描くことに力を注いでいます。

⑥DCAPサイクルをまわす

ビジネスの場ではこれからはOODAだとか言われているようですが、少し前まではPDCAが一般的とされていました。
PDCAはPlan(計画作成)、Do(実行)、Check(行動結果の分析・評価)、Action(改善)の略です。
それに対してOODAはObserve(外部環境や内部環境の観察)、Orient(情報精査や具体案による方向付け)、Decide(決定)、Act(行動)の略です。
なぜいきなりこんなビジネス用語を出したかというと、これらのサイクルは絵がうまくなるためにも大切だからです。


絵はただ描くだけではうまくなりません。描いた絵をもとに改善点を見つけ出し、それを次につなげるサイクルが非常に重要です。
ただ、私の場合はPDCAがあまり合いませんでした。頭でゴチャゴチャ考えるよりもまず実行し、その結果から改善点を見つけて次の行動を検討し、実行に移すというサイクルが合っていました。「やらなきゃ分からないし、とにかくやってから考えるわ」というやつです。このサイクルにハマるものをホリエモンが言っていたみたいで、DCAPサイクルというみたいです。

どのサイクルでも構いませんが、計画を練ってそのまま実行しないパターンが多い方は、私のようにDCPAサイクルをまわすと良いかもしれません。

⑦3DCGを学ぶ

先日から3DCGを学んでいます。なぜかというと、建造物や乗り物や武器をデザインする場合、複雑な形状をできるだけ正確に描くのは時間と労力がかなりかかる時があるからです。
様々な角度から見た形状をデザインしたいならなおさらです。

そこで3DCGで簡単なたたきを作って、それを下敷きにしてみることにしました。
基礎を学びながらのモデリングなので画像の建造物のモデリングに約3日(8時間/日換算)かかりましたが、慣れればもっと素早く作れそうです。

思った通り、3DCGで作ったたたきを下敷きにすることでデザインだけに集中することができました。
完成までにモデリングに約3日、レンダリングに約14時間かかりましたが、3DCGのたたきなしで描いたらもっと時間がかかったし、クオリティを保つのも難しかったはずです。

効率的な作業に3DCGはかなり有効だしモデリングが楽しかったので、今後も勉強を続けて本格的なモデリングやスカルプにもチャレンジしたいです。

まとめ

冒頭でも述べた通り、うまい絵の基準は人それぞれで、どのような絵を描きたいかによって必要な学びは変わります。そのため、「これだけやれば絵がうまくなります!」という方法はありませんし、絵がうまくなる方法はこの記事に挙げたことが全てではありません。

それでも、絵がうまくなる方法は何かと聞かれた時にいえることがあるとすれば、1つ目は「自分はどのような絵を描きたいのか?」をしっかり考え、「そのために何が必要なのか?」を逆算して考えてDCAPサイクル(PDCAでもOODAでも自分に合えばなんでも良いです)を回して練習し続けることです。

そして2つ目は絵を描くことを楽しむことです。好きこそものの上手なれ。それに敵うものはありません。