プロと同じ道具を使えばプロ並の絵が描ける?

道具を買う時ほとんどの人が考えたかもしれない

「もしかしてプロと同じ道具を使えば

プロ並の絵が描けちゃうんじゃないの!?」

(考えなかった人はえらい!!)

 

私も最初はそう考えてました。

なので初めてペンタブを買いに行ったとき、

せっかくだからプロと同じもの買うか~と手を伸ばしたら、

友達が一言。

「うまくなってからいい道具買えばええんちゃう?」

 

!!!!そっ、そうですな!!!!

一気に魔法が解けましたよ、

プロと同じ道具使えばプロと同じ

画力が一瞬で手に入る・・・ワケがない。

冷静な友達を持って私はしあわせです、

ドツボにハマる前に魔法を解いてくれてありがとう。

 

ほんとにすごい人ってそのレベルに到達するまでに、

何年もかけて考えて試しての繰り返しで、

技術や表現を磨き上げてきているんですよね。

道具さえ同じものを使えば!!なんて、

そんなものが通用するレベルじゃないんですよね。

しかもすごい人ほど、道具は関係ないという事実があります。

 

あこがれの人の一人にメビウスという

フランス漫画の巨匠がいます。

大友克洋とか宮崎駿とか、そうそうたるメンバーはもちろん、

いろんな分野に影響を与えたすごい人なんですが、

下描きなしで、ペン1本で1枚絵を完成させてしまいます。

しかも2時間で。

 

その2時間で描いた絵のレベルがとんでもない。

これは「B砂漠の40日間」と検索していただければ

分かりやすいかなと思います。

力のこもっていない伸びやかな線、

場面での線の使い分け、

一つのコマにすぎないのに遠くにある地平線・・・、

ため息出ちゃいます。

 

「メビウスが使ったペンだよ、使いたまえ。」

と与えられたら、まったく同じ絵が描けるのか?

すぐにはムリです、残念ながら。

確かな画力さえあれば道具は関係ないと

思い知らされちゃいます。

「プロ用のペンタブレットを使えば」

「あの人と同じペイントソフトを使えば」

と言ってるのも同じことです。

 

「でもあの人の絵に追いつきたいんや!!」

わかる、わかるよ!!私も毎日のように思います。

じゃあ追いつくためにはどうしたらいいんだろう?

 

それは、道具うんぬんじゃなくて、

自分の地力そのものを上げること。

シンプルですが、これが一番ですしこれしかないです。

デッサン力が足りないならデッサン力を上げる、

人体構造がわかってないならわかるようにする、

自分に足りないものを常に把握して、

一歩一歩レベルアップしていくこと。

 

数日や数ヶ月で到達できるものではないです。

プロは何年もかけて画力を培ってきているし、

プロになったあとでも試行錯誤してます。

すごければすごい人ほど死ぬまで試行錯誤です。

「数ヶ月でプロレベルに!!」なんてうたっているものは

たいてい詐欺か、それなりのレベルだと思います。

 

最近のペイントソフトは性能がいいですし、

小手先のテクニックでまかなえるなら数ヶ月で

似たようなものが描けるかもしれませんが、

それでできた絵はたいていスーパー劣化版。

悲しい・・・。

 

今はちょっとネットで調べれば

○○の描き方ってたくさん出てくるから、

「知識さえつめ込めば描けるんじゃない!?」と

思いがちかもしれませんが、

絵って意外と体育会系なんですよね。

知識をインプットしながら考える、そして試す。

ひたすら地味にそれの繰り返し。

でもその地味な作業が楽しいんですよね^^

 

結局何が言いたいかというと、

「たくさん学んで、たくさん考えて、たくさん試そう!

あこがれのあの人もそうしてる!!」

ということです。

 

スグウマクナリタイ病はとてもかかりやすいけど、

鉛筆1本でも魅力的な絵が描けるくらいに

楽しみながら試行錯誤してコツコツ描くのが、

遠いようでいちばんの近道なのかなと思います。